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会社の倒産手続き


会社の倒産手続き目次

  • 会社の破産手続きとは?
  • 会社の破産手続きの申立に必要な準備
  • 会社の破産申立にかかる費用
  • 会社の破産手続きの申立書の作成
  • 会社の破産手続きと破産管財人(管財手続)
  • 会社の破産手続きと債権者集会
  • 会社の破産手続きと否認権の行使

会社の破産手続きとは?

 会社の破産というのは、会社の業績が悪化して、借入金や買掛金などの債務を支払えなくなったり、債務超過の状態になった場合に、会社が裁判所に破産の申立てをし、裁判所によって選任された破産管財人が会社の資産を処分して債権者に平等に配当することによって会社を清算する手続きのことです。

 財産が極めて少ない場合には,破産管財人を選任しないまま破産手続を終了することもあります。

この手続きの終了によって、会社は消滅し、残った債務を支払う義務がなくなります。

会社の破産手続きの申立に必要な準備

 裁判所へ破産申立をするにあたっては、まずはきちんとした事前準備をすることが必要です。申立代理人弁護士が事業状況を把握した上で、適切に破産手続の準備を進めます。これらの準備においては、スケジュール管理も非常に重要になってきます。この事前準備次第で、後の破産手続が円滑に進むかどうかが決まってくると言っても過言ではありません。

 

 申立前の準備として以下の重要な準備があります。 

  • 取締役会決議
  • 運転資金状況確認
  • 弁護士との委任契約等

会社の破産申立にかかる費用

 会社の破産申立にかかる費用は、主に以下の合計となります。

 

裁判所に納める費用

※1 予納金、官報広告費、実費)

    +

弁護士に支払う費用

※2 弁護士報酬、実費)

 

※1 予納金:手続きにかかる費用として予め裁判所に納める費用。下記表(法人の予納金一覧)参照。官報公告費:官報に破産開始決定の事実を掲載するためにかかる費用。実費:裁判所に納める切手代、印紙代等。

 

※2 弁護士報酬:弁護士費用表、実費出張を必要とする場合には、旅費交通費・日当。

 

 法人の予納金一覧(札幌地裁における目安)

債務総額 予納金額
 5000万未満 20~70万 
5,000万~ 1億未満 100万
1億~ 5億未満 200万
5億~ 10億未満 300万
10億~ 50億未満 400万
50億~ 100億未満 500万
100億~ 250億未満 700万
250億~ 500億未満 800万
500億~ 1,000億未満 1,000万
1,000億以上 1,000万以上

会社の破産手続きの申立書の作成

 破産申立に向けて申立書と各種目録(債権債務や財産状況、清算貸借対照表等)を作成します。

 申立書では会社が破産に至った経緯等を分かりやすく記載する必要があります。

 

 破産申立にあたり、裁判所への提出書類を作成する必要があります。当事務所では財務・経理等にも精通した弁護士が作成・対応いたします。

 最初のご相談時には少なくとも直近分、できれば3期分の決算書をお持ちいただきますようお願いいたします。

(粉飾決算がある場合には5期分をお持ちください。)

会社の破産手続きと審尋

 ケースによっては、破産開始決定前に裁判所において審尋手続が行われることがあります。ここでは、破産手続きをとっていいのか最初のチェックをすることになります。

会社の破産手続きと破産管財人(管財手続)

 裁判所に破産申立をした後に破産手続開始決定がされると、裁判所によって破産管財人が選任されます。通常は、申立代理人とは異なる弁護士が選任されることが多いと言えます。これ以降は、破産管財人によって、破産会社の債権債務の調査や財産の換価清算手続が行われていくことになります。破産会社の代表者は破産管財人と面談をし、調査に協力します。真摯な対応が求められます。

 適宜、補充報告書などを作成して手続きを進めます。いづれの対応についても、代理人弁護士として付き添いきめ細かいサポートをさせていただきます。

会社の破産手続きと債権者集会

 裁判所に対して破産の申立をして破産手続が開始された後は破産管財人による調査が行われます。

 調査においては、会社の資産・財産の状況やキャッシュの流れについて詳しく調査されます。

会社の財産は原則として全て売却等により換価され、債権者に対して法律上の優先順位に従って配当されます。こうした破産管財人の調査の状況報告等のため、裁判所において定期的に債権者集会が開かれます。そして、会社の元代表者は原則として全ての債権者集会に出席しなければなりません。

 原則として申立代理人である依頼された弁護士が対応しますが、債権者の方に対して一言、謝罪等を求められることもありますので、会社の元代表者は事前に簡単な挨拶ができるように準備しておいた方が良いでしょう。

  具体的には、破産したことにより債務の返済ができなくなったことに対する謝罪と、破産に至った簡単な経緯等を簡単に伝えられれば十分であることが通常ですが、個々の事情に応じて異なってきますので、専門家である弁護士にご相談ください。

会社の破産手続きと否認権の行使

 破産管財人は、破産財団のために一定の行為を否認することができます。

 破産申立直前に、贈与や偏波弁済がされているような場合、破産管財人より否認権の行使をされる場合があります。否認が認められる場合には、財産を受領したものがそれを破産財団に返還しなくてはなりません。代表者としては、破産開始決定前に、そのような行為をしないよう、注意する必要があります。

 

 対象となる行為は破産法160条に記載されています。

 

破産法160条

次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続き開始後、破産財団のために否認することができる。

一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

 

二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

 

三 破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。

 

四 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為およびこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後破産手続きのために否認することができる。